このキャンプはどんなものか
ライオンズの国際交流プログラム YCE は、LCI が世界各地で展開する平和プログラムです。言語学校でも旅行会社でもありません。参加には多くの場合、地元ライオンズクラブによる推薦(スポンサークラブ)が前提になります。
日本では、海外からのYCE参加者(来日生)を受け入れる事業の多くを複合地区が運営しています(333-A地区のYCEリーフレット)。333複合地区は5つの地区で構成され、2026年夏の要項ではホームステイ先を333-A=新潟県、333-B=栃木県、333-C=千葉県、333-D=群馬県、333-E=茨城県と書いています。プログラム名は「Tokyo Disneyland & Japanese Culture(東京ディズニーランド&日本文化)」。名前だけ見るとテーマパーク旅行のようですが、全19日間のうち合同で過ごすのは最後の5日間で、残りの2週間は5県のどこかの家庭とホストクラブで過ごします。
イメージをひとつだけ借りるなら、地方の家庭とクラブで2週間をばらばらに過ごした参加者が、最後の5日間だけ浦安に集まる「同窓会」のような構成です。前半は地域ごとに中身が違い、後半は全員が同じ時刻表で動きます。
日程と規模の骨格は次のとおりです(333複合地区 2026年要項、総合スケジュール、本稿調査日2026-10-05時点)。
- 全期間: 2026年7月19日(日)〜8月6日(木)
- 第1家庭滞在: 7月19日〜26日/第2家庭滞在: 7月26日〜8月2日
- ミニキャンプ: 8月2日〜6日(拠点は千葉県浦安市のホテル)
- 年齢: 17〜23歳(2026年7月1日時点)
- 募集人数: 10名(各国から2名まで)。6月16日時点の総合スケジュールでは参加者8名、6か国
- キャンプ費: 60,000円(円のみ)。2025年より1日長くなったため20,000円の増額、と要項に理由つきで記載
- 公用語、空港: 日本語と英語/成田空港、羽田空港
- 応募締切: 2025年11月15日(調査時点で募集は終了)
誰が集まるか(応募先を探すときの目安)
- 募集は10名で、1か国から2名まで。2026年6月16日時点の総合スケジュールでは「8名/6ヶ国」と書かれています。前年の2025年は「10名/8ヶ国」でした。
- 年齢は17〜23歳(2026年7月1日時点)。2025年の要項は16〜22歳だったので、1歳上にずれています。
- 応募は各国のYCE窓口から。必要書類は申込書、署名、本人写真、家族写真、手紙、パスポートの写しの6点で、「全ての書類が揃ってからお申し込みください」と明記されています。
- 迎える側は5県の家庭とホストクラブです。新潟県の333-A地区では、来日生が決まる前の9月から家庭を公募し、12月に割当が決まった段階で来日生の情報を加えて再公募しました。
- 合同キャンプの初日は地区のライオン会員も歓迎パーティに加わり、そのあと「来日生懇親会/ライオン懇親会」が別室で開かれる設計です。
プログラムの大きな流れ
家庭滞在の中身は受け入れ地区とクラブごとに違います。最後の5日間は時刻、会場、乗換駅まで載った総合スケジュール(日本語版、英語版のPDF、2026年6月16日時点)が公開されています。
- 1来日〜第1家庭(7月19日〜26日) — 成田か羽田に到着し、5県のいずれかの家庭へ。歓迎会や地域の行事はホストクラブが企画します
- 2第2家庭(7月26日〜8月2日) — 別の家庭へ移ります。333-A地区の2025年の報告では、1週間の滞在を終えた来日生が次のホストクラブへ引き継がれています
- 38月2日(日)集合、歓迎会 — 13時30分に浦安のホテルへ集合。14時から2時間のオリエンテーション、チェックイン後に歓迎パーティ(2部構成)、その後は来日生とライオンが別室で懇親会、22時30分就寝
- 48月3日(月)東京ディズニーランド — 7時30分出発、9時〜19時30分。昼食と夕食は各自
- 58月4日(火)東京ディズニーシー — 同じく7時30分出発、9時〜19時40分。昼食と夕食は各自
- 68月5日(水)浅草〜銀座 — 京葉線、日比谷線、浅草線を乗り継いで浅草へ。10時から人力車、浅草寺参拝と仲見世通りの散策(昼食は散策中)。13時30分に雷門前に集合して銀座へ移り、15時〜17時に歌舞伎座で歌舞伎鑑賞。夜はフェアウェルパーティ
- 78月6日(木)解散 — 10時チェックアウト。帰国便が遅い参加者には、東京の短い観光を別に検討している、と備考にあります
このプログラムの魅力
「首都圏の名所」と「地方の暮らし」の役割がはっきり分かれている
テーマパークや浅草、歌舞伎は最後の5日間に全員で。祭りや学校、家庭料理は前半の2週間に、新潟、栃木、千葉、群馬、茨城のそれぞれの家庭で。名所めぐりを一か所に集めたことで、前半の家庭滞在は観光の義務から自由になり、その地域の夏そのものを見せる時間になっています。2つの家庭で過ごす組み立てからは、一つの家庭に負担をかけすぎず、来日生にもいろいろな暮らしを見せたいという工夫が伺えます。
ホストクラブが「地域の一日」を引き受けている
333-A地区のリーフレットは、歓迎会、日本文化体験、学校や「地域の茶の間」との交流、地元の観光やレクリエーションをホストクラブが主体的に計画すると書いています。2026年夏、新潟ときライオンズクラブは夕方の例会のあと、日本海に面した会場で会員の家族も交えた歓迎会を開き、縁日、けん玉、型抜き、花火、スイカ割りを楽しんだと報告しています。浴衣を着ての新潟県護国神社の参拝では会員のお孫さんが通訳を務め、若い人同士の会話が弾んだそうです。来日生が母国で学んでいる歯科の分野に合わせて、会員の歯科医院を見学する日もありました。
前年の受け入れも、地域の行事に深く入っている
2025年夏、越後西川ライオンズクラブが迎えた来日生は、浴衣を着て、高校で書道と剣道を体験し、小学校で子どもたちと触れ合い、地域の茶の間ではお年寄りと過ごし、弥彦の灯籠まつりでは松明行進に心を動かされた、と報告されています。1週間後には次のホストクラブへ引き継がれています。2つの家庭に分ける設計が、そのまま2つの町の夏を見せる仕組みになっています。
家庭への期待値を、文章で下げている
同じリーフレットには「ホストファミリーの過度な接待は必要ありません。寝食の提供が主となります」「食事は家庭料理で十分」とあり、海水浴や夜の手持ち花火、日常の家庭生活を体験できれば十分だと続きます。受け入れの敷居を下げる言葉が、公募の資料に最初から入っています。
合同部分の時刻表が、乗換駅まで公開されている
5日間の総合スケジュールは日本語版と英語版のPDFで公開され、集合時刻、ホテルの住所、各日の出発時刻に加えて、浅草や銀座への乗換駅まで書かれています。2025年は成田のホテルを拠点に貸切バスで動き、浅草のあとはマンガ・アニメのツアー(4時間30分)でしたが、2026年は浦安を拠点に公共交通で浅草と銀座へ向かい、歌舞伎を観る形に変わっています。
縮小を隠さず、形を変えて続けている
333複合地区は、2024年夏に新潟県(333-A地区)で開いたフルキャンプのあと「フルキャンプはいったん休止」と告知し、2025年からミニキャンプで迎えると明記しました。2026年は前年より1日長くなったため参加費を20,000円上げた、と増額の理由も要項に書いています。変更点を理由とともに公開する書き方は、海外の窓口にとっても判断しやすい情報です。
留学ではなくYCEを選ぶ理由
高校生のあなたが「東京ディズニーランド&日本文化」を考えるとき、語学留学とは何が違うのかを先に押さえておくと選びやすくなります。
このキャンプは海外から来る若者のためのもので、日本の学生が参加するプログラムではありません。それでも、日本の学生が海外のYCEに参加するときに入る仕組みが、ここでは迎える側から具体的に見えます。家庭に1週間ずつ滞在し、最後に短い合同キャンプで各国の参加者と合流する。費用は授業料ではなく、現地での宿泊と食事は迎える側が負担し、渡航費、パスポート申請費、キャンプ費は自分で払うという境界で決まっています(333-A地区リーフレット)。
長期留学や語学学校とは、お金の流れも、過ごし方の中心も違います。このキャンプを鏡にすると、次の三点が見えてきます。
- 迎える側の準備が具体的に分かる — 家庭の公募、2期に分けた受け入れ、クラブの歓迎会、学校や祭りへの同行。海外で自分を迎える家庭とクラブも、同じような準備をしています
- 滞在の中心は「暮らし」 — 名所めぐりは最後の数日に集め、前半は普通の家庭の夏に入ります。語学の授業ではなく、人の家で過ごす時間そのものが体験になります
- 迎える側にも回れる — 新潟の例では、会員のお孫さんが通訳として来日生の参拝に付き添いました。家族が受け入れに参加すれば、海外へ出る前から同世代の来日生と知り合えます
333-A地区は海外へ行く派遣生に、国内移動(新潟と東京の往復)に相当する20,000円の補助を出すとリーフレットに書いています。関心がある人は、地元のクラブか地区のYCE委員会に、派遣の枠と補助の有無を聞いてみるのが早道です。
派遣、地域キャンプを厚くするヒント
クラブで派遣やキャンプを担当している方なら、「東京ディズニーランド&日本文化」の組み立てから持ち帰れるヒントがあります。
特に真似しやすいのは「ディズニーに行く」ことではなく、家庭探しの段取り、補助金の分け方、合同部分を短く固める日程の組み方です。このプログラムの公開資料から抜き出すと、次のとおりです。
- 1来日生が決まる前に家庭を公募し、決まったら再公募する — 333-A地区は9月に来日生未定のまま公募を始め、12月に割当が決まった段階で情報を加えて再案内しました(応募期間は2025年12月23日〜2026年2月28日)。家庭探しの時間を2段階で確保できます
- 2受け入れ期間を2期に絞り、「指定できない」と先に書く — 第1期7月19日〜26日、第2期7月26日〜8月2日のどちらか。希望欄は設けつつ「希望がかなうとは限らない」と明記し、あとからの行き違いを防いでいます
- 3補助金を家庭とクラブに分け、クラブ分の使い道を広くする — 家庭には来日生1人1日2,000円、クラブには1人1日3,000円。クラブ分は歓迎会や観光のほか、一部を家庭への補助の増額に回してもよい、という書き方です
- 4家庭に求めることを短く言い切る — 「過度な接待は不要」「家庭料理で十分」「海水浴や手持ち花火で十分」。公募資料に入れておくと、初めて受け入れる家庭が手を挙げやすくなります
- 5クラブの一日は、会員の仕事と家族から組み立てる — 新潟ときLCの海辺での歓迎会(会員家族も参加)、会員の歯科医院の見学、会員のお孫さんによる通訳。特別な予算より、会員の持ち場の組み合わせが中身を作っています
- 6合同部分は短くして、時刻表を2言語で公開する — 5日間の総合スケジュールを日本語版、英語版のPDFで出し、乗換駅まで書く。海外の窓口や保護者に、そのまま渡せる資料になります
- 7派遣から帰った若者とレオを、迎える側に組み込む — 333-A地区の2026-2027年度の委員会計画は、検討事項に「サマーキャンプへの派遣生OBの参画」「サマーキャンプへのレオクラブの参画」を挙げています。送り出した若者が次の夏に迎える側へ回る流れを、計画の段階で言葉にしています
- 8費用を変えるときは理由も書く — 「1日増えたため20,000円増額」。数字だけを差し替えず、変わった理由を同じ行に置いています
学生の不安とクラブの期待——ギャップへの気づき
支える立場の方にとって大切なのは、学生が思い描く姿と公表されている条件の差を、出発前に一緒に埋めておくことです。
| 学生側に起きやすい期待/不安 | 公開情報から見える制約、実態 |
|---|---|
| 「ディズニーに行くキャンプ」 | 全19日間のうちパークは2日。前半2週間は5県の家庭とクラブで過ごす |
| 「パークでの食事は込み」 | 総合スケジュールは、両日とも昼食、夕食は各自と明記 |
| 「60,000円で全部まかなえる」 | 公開されているのはキャンプ費の金額まで。渡航費は参加者側の負担が通例 |
| 「家庭や滞在期間を選べる」 | 333-Aの公募では、家庭側も来日生と期間を事前に指定できない |
| 「英語だけで過ごせる」 | 公用語は日本語と英語。新潟の例では会員のお孫さんが通訳を担った |
| 「夜は自由に過ごせる」 | 禁酒、禁煙。就寝は22時台、朝は各自で部屋を掃除する |
| 「最終日に東京を観光できる」 | 10時チェックアウト。遅い便の人向けのミニ観光は「検討」の段階 |
| (家庭側)「特別なもてなしが必要」 | リーフレットは「過度な接待は必要ありません」「家庭料理で十分」 |
ずれが生まれやすいのは、プログラム名の「ディズニーランド」だけが先に伝わったときです。参加者は2日間のパークを、受け入れる家庭は特別なもてなしを思い浮かべがちですが、公開資料が描いているのは、2週間の普通の家庭生活と5日間の決まった時刻表です。名前の華やかさと、19日間の配分、食事は各自、2期は選べないといった条件を同じ紙に並べて説明すると、参加者と家庭の思い描くものがそろいやすくなります。
よくある質問
Q. 日本の学生もこのキャンプに参加できる?
このミニキャンプは海外から来日する参加者向けです。日本の学生が関わるとすれば、家族として受け入れに加わるか、地区から海外のYCEへ派遣される形になります。
Q. キャンプ費60,000円には何が含まれる?
支払いは「円のみ」と要項にあります。総合スケジュールでは、パークの日の昼食と夕食は各自とされています。
Q. 参加者は何人だった?
要項の募集は10名(各国2名まで)、2026年6月16日時点の総合スケジュールでは8名、6か国です。
Q. 受け入れる家庭への補助はある?
333-A地区(新潟県)では来日生1人1日2,000円を家庭に、3,000円をホストクラブに支給すると公募資料にあります。
Q. なぜフルキャンプから切り替えたの?
333複合地区の告知は「2024夏でいったん休止」「2025夏はミニキャンプ」と告知しています。
Q. 2027年もある?
2027年夏の要項は、333複合地区のサイトで発表を確かめてください(2026年10月5日時点)。
補足、用語注釈
- 略語 — YCE(Youth Camps and Exchange/ユースキャンプ及び交換)。LCI(Lions Clubs International/ライオンズクラブ国際協会)。MD(Multiple District/複合地区)。LC(Lions Club/ライオンズクラブ)。
- 333複合地区の地区と県 — 333-A新潟県、333-B栃木県、333-C千葉県、333-D群馬県、333-E茨城県。2026年要項のホームステイ欄の表記によります。
- プログラム名の表記 — 要項の英語表記は「Tokyo Disneyland & Japanese Culture」、総合スケジュールは「Tokyo Disneyland & Japan Culture」、日本語は「東京ディズニーランド&日本文化」。2026年の行程には東京ディズニーシーの日も含まれます。
- 参加者数の食い違い — 要項は募集10名、6月16日時点の総合スケジュールは8名、6か国。本文では両方の数字を載せています。
- 2025年との違い — 2025年は16〜22歳、40,000円、締切2025年2月28日、成田のホテル拠点、パーク1日、マンガアニメツアー。2026年は17〜23歳、60,000円、締切2025年11月15日、浦安のホテル拠点、パーク2日、歌舞伎鑑賞。
- 交換期間の表記 — LCIの説明では青少年交換は通常4〜6週間、333-A地区のリーフレットでは通常2〜4週間と書かれています。本プログラムの家庭滞在は2週間です。
- 費用負担の境界 — 「現地の宿泊、食事は迎える側、渡航費、パスポート申請費、キャンプ費は参加者側」は、333-A地区リーフレットの派遣生向けの説明に基づきます。
- 個人情報 — クラブの報告や公募資料には来日生の名前などが載っていますが、本文では扱っていません。未成年を含む参加者の写真も掲載していません。
- 出典の方針 — 非公式に転記されたYCEディレクトリは、本文の数字や日程の根拠に使っていません。地区とクラブの公式サイト、公開PDF、LCIのページのみを出典にしています。
※数値、日程、募集の可否は主催者の最新情報を必ず確認してください。
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