このキャンプはどんなものか

ライオンズの国際交流プログラム YCE は、ライオンズクラブ国際協会(LCI)が世界各地で続けている青少年交流です。LCIの公式ページは、対象を15〜22歳とし、交換派遣はおおむね4〜6週間、キャンプは1〜2週間で、受け入れ側のクラブがボランティアで運営すると説明しています。

今回取り上げるのは、その「受け入れ側のクラブが組むキャンプ」を、ニュージーランドのライオンズが自国の中高生向けに新しく立ち上げた例です。ニュージーランドのライオンズは、ニュージーランド本土とトンガ、サモア、米領サモア、フィジーのクラブで202複合地区(MD202)をつくり、会員は約8,000人と公式サイトに書かれています。

2026年、そのMD202の公式サイトに「Lions Youth Camp Taranaki」の案内が載りました。北島の西海岸、タラナキ山のふもとの地方で、ニュージーランド各地と太平洋の島々から集まる12〜16歳を迎え、「山、陸、海」でタラナキを体験してもらうという7日間のキャンプです。案内のチラシには、これが初めての開催であることも明記されています。

日程と規模の骨格は次のとおりです(MD202公式サイトと案内チラシ・本稿調査日2026-10-12時点)。

誰が集まるか

7日間の流れ

チラシには「サンプルの日程」が載っています。初めての開催なので、季節に合わせて変わる場合があると断ったうえでの日程です。昼と夜に分けて、こう組まれていました。

  1. 11日目(日) — 到着・受付・オリエンテーション。夜は歓迎の夕食とゲーム
  2. 22日目(月) — キャンプ場でのアクティビティ。夜はライオンズとレオの紹介の夜
  3. 33日目(火) — キャンプ場でのアクティビティ。夜はクイズ大会
  4. 44日目(水) — テ・ポポ・ガーデンと山歩き。夜はロトカレ湖で夕食と夜の散策
  5. 55日目(木) — ワイタラで過ごす一日。浜辺での「ビッグ・ディグ」ほか。夜はゲーム
  6. 66日目(金) — ミニゴルフ、奉仕活動、プール。夜はお別れの夕食とディスコ(案)
  7. 77日目(土) — 片付けとお別れ

チラシの見出しどおり、前半はキャンプ場、半ばに山と湖、後半に海辺と町、という順番で「山、陸、海」をひと巡りする形です。2日目の夜に、ライオンズとレオクラブを紹介する時間が入っているのも目を引きます。

このキャンプの見どころ

30エーカーのアドベンチャー施設を拠点にする

会場のVertical Horizonは、1978年3月24日に「Everett Road Christian Campsite」として開かれ、2002年にアドベンチャー施設として今の形になりました。30エーカー(約12ヘクタール)の敷地が、Everett Park Scenic Reserveという保護区に接しています。施設の公式サイトには、カヤック、ジップライン、高所のロープコース、ウォータースライダー、いかだづくり、オリエンテーリング、アーチェリー、ニュージーランドの森の自然観察といったプログラムが並びます。2日目と3日目の「キャンプでのアクティビティ」は、こうした施設の中で過ごす時間です。

夜の湖で、キーウィのすむ森を歩く

4日目の夜に訪ねるロトカレは、南タラナキのエルサムから12kmほどの場所にある230ヘクタールの保護区です。17.8ヘクタールの湖を4kmの遊歩道が囲み、周囲8.2kmを害獣よけのフェンスで囲っています。保護区の公式サイトによると、フェンスは住民と協賛者の寄付で190万NZドルを集め、2006年11月から2年あまりかけて建てられました。森にはキーウィやルル(ニュージーランドのフクロウ)がすみ、夜行性の生きものを見る夜のツアーも開かれています。運営の多くを地域のボランティアが担う、住民主導の保護区です。

浜辺の町で一日を過ごし、奉仕活動も

5日目は海辺の町ワイタラで過ごし、浜辺での「ビッグ・ディグ」が予定されていました。6日目にはミニゴルフやプールと並んで「奉仕活動」が入っています。チラシは奉仕活動の中身までは書いていませんが、遊びの日のなかに奉仕の時間を一コマはさむ組み方は、ライオンズのキャンプらしいところです。

マオリのことわざを掲げる

日程表の下には、マオリ語のことわざが英訳と並べて置かれています。英訳は「いちばん大切な宝を求めよ。頭を垂れるなら、高い山に対して」。タラナキ山のふもとで開くキャンプらしい言葉です。

ねらいを7つの言葉で書いておく

チラシの最後のページには、キャンプで期待する成果が7項目並んでいます。安全な環境で新しい野外活動に挑むこと、自己肯定感と粘り強さを育てること、仲間の違いを認めて長所を知ること、個人と集団で物事を決めること、自然と動植物を大切にすること、自分と仲間の達成を前向きに感じること、そしてニュージーランドの別の地方を体験すること。遊びの予定だけでなく、何のためのキャンプなのかを先に書いています。

YCEにつながる入口として

もしあなたが高校生や大学生で、このキャンプに応募するか迷っているなら、留学との違いをここで確かめてみてください。

このキャンプは国内向けで、日本から参加できるものではありません。それでも、海外のライオンズが若い世代をどう迎えているかを知る手がかりになります。

  1. YCEの手前にある、もう一つの入口 — ニュージーランドのライオンズの交換派遣は17〜21歳が対象です。12〜16歳のキャンプは、その年齢に届く前に、ライオンズの活動とキャンプでの暮らしを知る場になっています
  2. ネットがつながらない夜を過ごす — チラシには「キャンプ場ではインターネットが使えない」と書かれています。昼の外出先で時々つながる程度です。スマートフォンから離れて、ゲームやクイズで仲間と過ごす夜が前提になっています
  3. ニュージーランドとの交換派遣もある — MD202の交換派遣のページには、交換先の窓口として日本も挙がっています。冬(現地は夏)の12〜1月に4〜5週間、2〜3軒の家庭で暮らす形です。関心がある人は、地元のクラブか地区のYCE委員会に、ニュージーランドとの交換の枠があるか聞いてみてください

地域キャンプを立ち上げるときのヒント

ライオンズクラブのメンバーにとって、このキャンプから学べることは景色や行程そのものより、伝え方と仕組みにあります。

このキャンプから学べるのは、タラナキの名所ではなく、初めてのキャンプを小さく立ち上げる組み方です。公開資料から具体的に抜き出すと、次のとおりです。

  1. 1「サンプル日程」として先に出す — 初回であることを明記し、日程は季節に合わせて変わりうると断ったうえで、7日分の昼と夜の予定を公開しています。確定前でも、ひと目でキャンプの中身が伝わります
  2. 2宿泊とアクティビティは既存の施設に任せる — 会場は宿泊とロープコースや水遊びの指導をそろえたアドベンチャー施設です。クラブが一から設備や指導者を用意しなくても、キャンプの骨組みができます
  3. 3地域の保護区や町を一日ずつ借りる — 山歩きの庭園、ボランティアが支える湖の保護区、海辺の町と、地域の場所を一日ずつ行き先にしています。日本でも、地区内の自然公園や会員のゆかりの町に一日ずつ頼む形にすると、負担を分けられます
  4. 4ライオンズを紹介する夜をつくる — 2日目の夜を「ライオンズとレオの紹介」にあてています。参加者が、自分を送り出したクラブが何をしている団体なのかを知る時間です
  5. 5参加費はスポンサークラブに請求する — 参加が決まるとスポンサークラブに600NZドルが請求されます。申込書にもクラブの署名が要ります。クラブが参加者を推薦し、費用の窓口になる流れがはっきりしています
  6. 6送り出す側の会員にも来てもらう — 各地区から1人ずつ会員が来てくれるとうれしいと案内しています。キャンプを見た会員が地区に持ち帰れば、次の年の参加者集めにつながります
  7. 7ねらいを文章にして公開する — 7項目の「期待する成果」をチラシに載せています。保護者もクラブも、何のためのキャンプかを同じ言葉で説明できます

参加者と家族が思い描くものとのずれ

ホストファミリーやクラブとして支える立場なら、学生の不安とクラブの期待がどこで食い違いやすいかを知っておくと役立ちます。

思い浮かべやすいこと公開情報から見えること
「ニュージーランドの国際キャンプ」MD202の地域内(ニュージーランドと太平洋の島々)の12〜16歳を集める国内キャンプ
「日程は決まっている」初開催のため、チラシの日程はサンプル。季節に合わせて変わりうると明記
「夜もスマートフォンで連絡がとれる」キャンプ場ではインターネットが使えない。昼の外出先で時々つながる程度
「申し込みはオンラインで」申込書は黒のペンで手書きし、顔写真を添えて、スポンサークラブの署名を入れて送る
「10月は春だから過ごしやすい」南半球の春。日程に屋外プールや夜の湖の散策が入っており、寒さへの備えは主催に確認が必要
(クラブ側)「キャンプはすべて自前で運営する」宿泊とアクティビティはアドベンチャー施設、行き先は地域の保護区や町を使う組み方

ずれが生まれやすいのは、「ライオンズのキャンプ」という一言だけが先に伝わったときです。家族は旅行のような日程や連絡のとりやすさを思い浮かべがちですが、チラシが描いているのは、ネットから離れて施設に泊まり、山と湖と海を仲間と回る1週間です。出発前に、日程表と「キャンプでのルール」の欄を家族で一緒に読んでおくと、思い描くものがそろいやすくなります。

よくある質問

Q. 日本から参加できる?

公開されている案内では、対象はニュージーランドと太平洋の島々の若者です。日本からの参加の案内はありません。ニュージーランドとの交流に関心がある場合は、MD202の交換派遣(17〜21歳)について、地元のクラブか地区のYCE委員会に聞いてみてください。

Q. 参加費はいくら?

600NZドルです。参加が決まると、スポンサークラブに請求されます。

Q. 何歳が対象?

2026年7月1日時点で12〜16歳です。年齢の条件はキャンプごとに違います。

Q. キャンプは予定どおり開かれた?

チラシの日程はサンプルとして案内されたものです。

Q. ロトカレとはどんな場所?

南タラナキにある230ヘクタールの保護区です。湖を囲む4kmの遊歩道と、周囲8.2kmの害獣よけフェンスがあり、キーウィなどが暮らしています。入場は無料で、地域のボランティアが運営の多くを担っています。

補足・用語注釈

  1. 略語 — YCE(Youth Camps and Exchange/ユースキャンプ及び交換)。LCI(Lions Clubs International/ライオンズクラブ国際協会)。MD(Multiple District/複合地区)。ニュージーランドは202複合地区で、トンガ、サモア、米領サモア、フィジーのクラブも含みます。
  2. アオテアロア — ニュージーランドのマオリ語の呼び名です。チラシは「Aotearoa, New Zealand」と併記しています。
  3. 国内キャンプとYCE — このキャンプはMD202の地域内の若者を対象にしており、LCIのYCEとして各国から受け入れる国際キャンプとは別のものとして読んでいます。チラシは「キャンプのルールはライオンズ青少年交換の方針に従う」と書いています。
  4. 日程の確度 — 本文の日程は、チラシに「サンプル」として載ったものです。実際の日程や行き先は変わった可能性があります。
  5. ビッグ・ディグ — チラシの「Beach big dig」をそのまま訳しています。
  6. マオリのことわざ — チラシの英訳から日本語にしています。マオリ語の原文の表記は、チラシの記載をそのまま本文に載せていません。
  7. 面積の換算 — 会場の公式サイトの「30エーカー」を、約12ヘクタールに換算しています。
  8. 個人情報 — 公式サイトとチラシには担当者の名前と連絡先が載っていますが、本文では扱っていません。参加者の写真も掲載していません。
  9. 出典の方針 — 非公式に転記されたYCEディレクトリは使っていません。MD202の公式サイトと公開チラシ、会場と保護区の公式サイト、LCIのページのみを出典にしています。

※日程・参加費・募集の有無は主催者の最新情報を必ず確認してください。

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