冬に出かける派遣
YCE(ユースキャンプ及び交換)は、ライオンズクラブ国際協会が世界で続けている青少年交流です。地元のライオンズクラブがスポンサーとなって若者を海外へ送り出し、行き先では現地の家庭が迎えます。日本からの派遣は夏が多いのですが、この2人のように、冬休みの時期に出かける派遣もあります。
1人目は、川俣ライオンズクラブがスポンサーを務めた21歳の学生です。2人目は、郡山東ライオンズクラブがスポンサーを務めた19歳の学生です。どちらのレポートも1ページほどの短いものですが、読み比べると、初めての土地で人が何に目を向けるのかがよく分かります。
空港の横断幕で、緊張がほどけた
21歳の派遣生にとって、これが初めての海外でした。レポートは、マレーシアでの経験を3つにまとめる形で書かれています。
1つ目は人の温かさです。クアラルンプールの空港に着くと、ホストファミリーが横断幕を持って「Welcome to Malaysia!(マレーシアへようこそ)」と声をかけ、ハグで迎えてくれました。その瞬間に緊張がすべてなくなった、と本人は振り返っています。英語がうまく話せなくても、家族は分かろうとしてくれ、いろいろな場所へ連れて行ってくれたそうです。
2つ目は気候です。赤道に近いマレーシアは、一年中暑くて湿度の高い国です。滞在したのは雨季で、比較的涼しい時期だと聞いていたものの、それでも気温は30度を超えていました。暑いのが好きな本人には過ごしやすかった一方で、ショッピングモールや交通機関は冷房が効きすぎていて、上着が欠かせなかったと書いています。
3つ目は水回りです。浴槽がなく、シャワーとトイレが同じ場所にあるのが一般的だったこと。水質が違うので、飲み水はペットボトルの水か、浄水器の水を使う必要があったこと。日本との違いが、具体的に書き留められています。
観光地の話より先に、空港での出迎えと、暑さと、お風呂の話が来る。初めて海外で暮らす人にとっては、毎日の暮らしの手ざわりそのものが、いちばん大きな発見だったのでしょう。レポートは、マレーシアで過ごした日々を「人生で最も濃い期間」「一生涯の宝物」と呼んで締めくくられています。
食卓と街で出会った、いくつもの文化
19歳の派遣生が滞在したのは、ジョホール州スガマトにある中国系の家庭でした。両親と子ども3人の5人家族です。
マレーシアには、マレー系、中華系、インド系など、いくつもの民族が暮らしています。家族と食卓を囲む機会が多かったこの派遣生は、インド系の朝ごはん「ロティ・チャナイ」や、中華系の「海南チキンライス」を味わいました。一つの国にいながら、違う民族の食文化を体験できることが大きな魅力だ、と書いています。
クアラルンプールでは、ヒンドゥー教の聖地であるバトゥ洞窟を訪ねました。巨大な金色のムルガン神像が立ち、洞窟の中には神々を祀る寺院があります。歴史のある街マラッカでは、オランダ広場やセントポール教会を歩き、ポルトガル、オランダ、イギリスに治められた歴史が、街並みに色濃く残っているのを感じたそうです。マレーの伝統的な衣装クバヤに中国の刺繍の技が合わさった「ニョニャ」の衣装も着て、プラナカンと呼ばれる文化に触れています。
1人目が毎日の暮らしの違いを書いたのに対して、2人目は文化や宗教の違いを、自分の目で確かめた順に書いています。同じ国で同じ18日間を過ごしても、何に心を動かされるかは人によってこれほど違う、ということが伺えます。
2人がそろって書いたこと
書き方は違っても、2人のレポートには共通点があります。どちらもホストファミリーの温かさに支えられたことを書き、言葉が完璧でなくても気持ちは通じたと振り返っていることです。19歳の派遣生は、言葉の壁を越えて伝え合うことの大切さと、宗教や価値観の違いを理解して、お互いを尊重し合うことの大切さを学んだと書いています。そして、帰国後も英語とマレー語の勉強を続けて、いつかまた必ずマレーシアを訪れたい、という言葉で結んでいます。
もしあなたが高校生で、英語に自信がないことを理由に迷っているなら、2人のレポートは心強い材料になるはずです。どちらも、うまく話せたかどうかより、分かろうとしてくれた家族の存在を書き残しているからです。
出かける前に知っておくと役立つこと
2人のレポートに書かれていることから、冬のマレーシアへ行く人が準備しておけることを拾っておきます。
- 日本は冬でも、現地は30度を超えます。一方で、建物や乗り物の中は冷房が強いので、薄い上着があると安心です。
- 飲み水は、ペットボトルの水か浄水器の水を使っていました。
- 浴槽のない浴室が一般的だったそうです。日本の家とは勝手が違うと知っておくだけでも、戸惑いが減ります。
- 家庭の食卓で、いくつもの民族の料理に出会えます。食べられないものがある人は、出発前にクラブを通して伝えておきましょう。
補足
- 2人のレポートには本人の名前と写真が載っていますが、この記事ではお名前を載せていません。
- 派遣期間は18日間ですが、21歳の派遣生はレポートの中で「マレーシアで過ごした15日間」と書いています。
- 332複合地区は東北6県の地区から成る複合地区で、332-D地区は福島県を受け持ちます。
※派遣先や時期は年によって変わります。最新の募集は、地元のライオンズクラブや地区に確認してください。
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