港町と3つの島をめぐるキャンプ
YCE(ユースキャンプ及び交換)は、ライオンズクラブ国際協会が1965年から続けている青少年交流です。若者は地元のライオンズクラブの推薦を受けて海外へ出かけ、行き先の家庭やキャンプで暮らします。フランスのライオンズによると、毎年およそ3,000人の若者が、45の国のおよそ100のキャンプに迎えられていて、そのうち7つがフランスにあります。この「Explore La Rochelle and its Islands」は、フランス中西部の地区が開いているキャンプです。
募集の案内には、海辺の町ならではの予定が並んでいました。ラ・ロシェルでは旧港の塔と水族館を訪ね、海に浮かぶ要塞フォール・ボワイヤールを見に行きます。レ島では自転車で灯台をめざし、オレロン島では牡蠣の養殖を見学し、エクス島では博物館と浜辺を楽しみます。泳いだり浜辺でのんびりしたりする時間や、ヨットなどの水上スポーツの手ほどきも予定に入っていました。
拠点になったのは、ラ・ロシェルから東へ内陸に入ったシュルジェールの町にある「レ・グランド・ショーム」です。農家のジュルダンさん夫妻が1999年から営む、団体で泊まれる5棟の宿で、どの棟も障がいのある人が利用しやすい宿に与えられる認証を受けています。まわりは生け垣が8キロ以上続く田園で、25種類をこえる鳥が見られるといいます。ラ・ロシェルやシャトレイヨンの浜辺までは車で約30分、高速鉄道の止まるシュルジェール駅までは5分です。海辺の町に泊まるのではなく、静かな田園に拠点を置いて、毎日ちがう町や島へ出かけていく形を選んだのでしょう。
8つのクラブが、1日ずつ受け持つ
このキャンプのいちばんの特徴は、迎える側の分担にあります。フランスのライオンズが2026年9月にまとめた夏の報告によると、キャンプの責任者は、ラ・ロシェル・ドワイヤン・ライオンズクラブのアラン・ドレフュスさん。そのそばで、ロシュフォール・ライオンズクラブのミレーヌ・ヴォシュレさんと、パリのレオクラブのティボー・ブーラニョンさんが若者たちと過ごしました。
そして、地元の8つのクラブが、受け入れと日々の予定を分け合いました。ラ・ロシェルの2つのクラブは水族館の日を、シャトレイヨン=プラージュのクラブは海辺の町のお祭りの日を受け持ちます。ロシュフォールのクラブはエクス島とフォール・ボワイヤールへの船旅を、レ・ゼルビエのクラブは歴史のテーマパーク「ピュイ・デュ・フー」への遠出を、オレロン島とレ島のクラブはそれぞれ自分たちの島の案内を担当しました。最後の夜のお別れ会を開いたのは、オーニス・ペルネルのクラブです。
募集の案内では「6つのクラブが待っています」と書かれていましたが、夏が終わってみると、8つのライオンズクラブと1つのレオクラブが関わっていました。1つのクラブがキャンプのすべてを背負うのではなく、それぞれが得意な場所で1日を受け持つ。この分け方だからこそ、準備の途中で手を挙げるクラブが増えていったということが伺えます。
旧港の塔から、島の風車まで
2026年の夏に集まったのは、17歳から22歳までの女性5人と男性4人です。台湾、ドイツ、イタリア、インドから2人、ブラジル、ノルウェー、トルコ、インドネシアと、8つの国から来ました。
11日間は、ラ・ロシェルの町を歩いてめぐるところから始まりました。上の写真は、そのラ・ロシェルの旧港の入り口に向かい合って立つ2つの塔です。そこから、シャトレイヨン=プラージュのお祭りの日、エクス島へ渡ってフォール・ボワイヤールを海から眺める日、ピュイ・デュ・フーで歴史の中に入りこむ日と続き、最後はオレロン島とレ島の村々へ出かけています。報告に載った写真には、塩田や博物館、レ島の風車、島での昼ごはんの様子も写っています。
毎日の行き先は、そのまま受け持ったクラブの地元です。若者たちにとっては、観光地をめぐると同時に、その町に暮らすライオンズの人たちに次々と会っていく11日間でもあったのでしょう。
キャンプのあとは、家庭で2週間
このキャンプは、キャンプが先で、家庭での滞在があとに来る順番です。7月6日にキャンプが終わると、9人はそれぞれライオンズの家庭に移り、19日まで暮らしました。報告は、この家庭での滞在を「切り離せない2つめの段階」と呼び、「国を知ることが、ともに暮らす経験に変わるのはここだ」と書いています。
迎えたのは7つの家庭で、そのうち2つの家庭は2人ずつを受け入れました。家庭のある町は、ロシュフォール、ポワティエ、ブレシュイール、レ・サーブル=ドロンヌ、ヴァンデ県のフォントネーなど、海辺から内陸まで地区のあちこちに広がっています。キャンプで地域の全体を見たあとに、それぞれが別々の町の暮らしに入っていく流れになっていて、同じ地方でも海辺と内陸でずいぶん違う日常に触れられたことが伺えます。
迎えた数と、送り出した数
フランスのライオンズの報告は、このキャンプのお金の流れも公開しています。収入は12,850ユーロ、支出は8,598ユーロで、若者1人あたりにかかった費用は平均955ユーロでした。参加費は1人300ユーロなので、実際にかかった費用はその3倍あまりです。差の分は、受け入れた地区とクラブが用意したということになるのでしょう。
同じ夏、この地区は3人の若者を海外へ送り出しています。オロールさんはスペインへ、シャルリーヌさんはモンゴルへ、クレマンスさんはフィンランドへ。報告の冒頭には、「わたしたちの若者が出かけていくためには、わたしたちの地区が迎えなければならない」という言葉があります。9人を迎えたことと3人を送り出せたことは、一つながりの仕事として語られているのです。
このキャンプから学べること
もしあなたが高校生なら、このキャンプに申し込めるのは18歳からです。高校を卒業したあとの夏や、大学に入って最初の夏の目標として覚えておくとよいでしょう。予定には泳ぐことやヨットの手ほどき、レ島の自転車めぐりが入っているので、水着と、自転車に乗り慣れておくことは役に立ちそうです。キャンプのあとに入る家庭は、海辺の町とは限りません。8つの国の仲間と過ごした11日間の話を、家庭の人たちに聞かせられるよう、写真をまとめておくのもおすすめです。
保護者の方にとって気になるのは、期間と費用でしょう。2026年の日程では、キャンプが6月26日から7月6日まで、家庭での滞在が7月19日までで、あわせて3週間あまりになります。参加費は300ユーロで、申し込みの締め切りは4月30日でした。申し込みには推薦してくれるライオンズクラブが必要で、フランス側には海外からの若者の受け入れをまとめる担当者がいます。
ライオンズクラブのメンバーとしてこのキャンプから学べるのは、1つのクラブで抱えこまず、近くのクラブに1日ずつ受け持ってもらうやり方です。水族館、港町のお祭り、島の案内と、それぞれのクラブが自分の地元のいちばんよいところを見せる日を担当すれば、1つのクラブの負担は軽くなり、若者は毎日ちがう町のライオンズに出会えます。若いレオクラブのメンバーを世話役に加えていることや、費用と人数を数字で公開していることも、次の年に手を挙げるクラブや家庭を増やす力になっているはずです。日本で海外の若者を迎えるときにも、まず近くのクラブに「1日だけ」をお願いするところから始められます。
補足
- 2026年の実際の日程、拠点の宿、世話役、クラブの分担、参加者の人数と国、予定の中身、家庭の数、費用、送り出した3人は、フランスのライオンズの全国委員会がまとめた2026年の夏の報告(2026年9月)によります。参加者の年齢「17歳から22歳」も報告の記載です。本文中のことばは、報告のフランス語を日本語に訳したものです。
- 年齢の条件、定員、参加費、締め切り、募集のときの予定の中身と「6つのクラブ」は、フランスのライオンズの2026年のキャンプ案内と、ベルギーのライオンズの青少年交流のサイトによります。募集の案内では家庭での滞在は7月16日までとなっていて、報告の7月19日とは違います。本文では報告の日付を使いました。
- YCEの始まりの年と、毎年の人数、キャンプの数は、フランスのライオンズの報告によります。拠点の宿の説明は、レ・グランド・ショームの案内によります。
- 写真は、ラ・ロシェルの旧港の入り口に立つサン・ニコラの塔(右)とシェーヌの塔(左)です(Entrée port La Rochelle août 2015 Charente-Maritime、撮影 Jebulon、Wikimedia Commons、CC0)。2015年の撮影で、キャンプの写真ではありません。トリミングをしています。
※日程や参加国、募集の有無は年によって変わります。最新の情報は、地元のライオンズクラブや地区に確認してください。
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