国じゅうのクラブで、毎夏40人ほどを迎える

YCE(ユースキャンプ及び交換)は、ライオンズクラブ国際協会が1961年から続けている青少年交流です。若者は地元のライオンズクラブの推薦を受けて海外へ出かけ、行き先の家庭やライオンズクラブに迎えられます。スイスのライオンズは、海外から迎える若者を40〜45人ほど、同じ夏に各国のキャンプへ送り出すスイスの若者を最大45人ほどと紹介しています。西の地区の紹介ページによると、海外の若者は毎年夏に4〜5週間スイスとリヒテンシュタインに滞在し、スイスの家庭に迎えられます。

102複合地区は、東、中央、西の3つの地区に分かれています。キャンプは地区ごとに受け持つ年が決まっていて、2026年は中央と東が1つずつ開きました。西の地区は、この年に全国の年次大会を開くため、順番どおりキャンプはお休みでした。大きな行事と重なる年は無理をせず、3つの地区のあいだで受け持ちを回していることが伺えます。

家庭から始まる形と、キャンプだけの形

2026年の2つのキャンプは、組み立てがちがいます。「Swiss Nature Experience」は、7月11日からの2週間をスイスの家庭で過ごし、25日からキャンプに移る形です。参加者は25人。3つの地区に割り振られ、地区の担当者が家庭との橋渡しをします。キャンプでは、スイス中部の自然にふれるほか、航空にまつわる見学、国会議事堂や交通博物館の見学、山歩き、スイスならではのスポーツが予定されていました。

もう一つの「Swiss Historical Experience」は、家庭での滞在がない、キャンプだけの形です。参加者は20人で、拠点はリヒテンシュタインのシャーンとファドゥーツ。スイス東部とリヒテンシュタインの歴史を学び、山を歩き、ヴァレン湖をはじめとする湖を楽しみます。チューリッヒやシャフハウゼンなどの街で買い物を楽しむ遠足も組まれていました。どちらのキャンプも、8月1日のスイス建国記念日を、ライオンズの仲間や家族と一緒に祝う予定でした。

家庭を探す会員向けの呼びかけでは、1つの家庭が1人か2人を、1週間または2週間迎えればよいとされています。2人のときは、ちがう国の若者を組み合わせます。1家庭あたりの負担を軽くして、迎える家庭の数を増やそうとしているのでしょう。ねらいは、海外の若者に家族の毎日の暮らしに加わってもらうこと。クラブの奉仕活動に一緒に参加してもらうことも歓迎されています。

受け入れの案内には、次の夏の計画もすでに載っています。フランス語圏のラ・ショー=ド=フォンで開く「Swiss Cultural Experience」は16〜19歳が対象で、家庭での滞在を含みます。バーゼル周辺で開く「Swiss Nature Experience」は18〜21歳が対象で、キャンプだけの形です。定員はどちらも20人。2026年に休んだ西の地区が、次はフランス語圏で受け持つ順番なのでしょう。

1日ずつ、ちがうクラブが案内役になる

2025年の夏、西の地区が開いたキャンプには、14か国から17〜23歳の19人が集まりました。期間は14日間。運営は地域のクラブがまとまって引き受け、1日ごとの案内も、地域のクラブが分担して受け持ちました。

ラ・ヴノージュのクラブが受け持った日は、ローザンヌのユースホステルを出発するところから始まりました。淡水の生き物を集めた水族館「アクアティス」を英語の案内で見学し、昼はスイス料理の店へ。干し肉やチーズフォンデュ、ラクレット、そしてダブルクリームを添えたメレンゲを味わい、アルプホルンを吹いてみる時間もありました。午後は高さ35メートル、302段のらせん階段がある展望塔に登ります。最後は昔ながらの外輪船「ヴヴェイ」号に乗って、レマン湖をモントルーまで往復。船の上で夕食をとって1日を終えています。

モルジュのクラブが受け持った日は、朝に参加型の町歩き、午後はレーザー銃を使ったチーム対戦のゲーム、夜はみんなで夕食という組み立てでした。同じキャンプでも、担当するクラブによって1日の中身がまったくちがいます。

同じ夏、チューリッヒのユースホステルを拠点に開かれた「Swiss Historical Experience」に参加したリトアニアの若者も、感想に「毎日、ちがうライオンズクラブが案内してくれた」と書いています。ゴルフ、クロスボウの射撃、水力発電所、動物園、空港の裏側の見学、修道院、リヒテンシュタイン、そしてイタリアとの国境近くの山で食べたイタリア料理。1つのクラブにすべてを任せず、たくさんのクラブが1日ずつ持ち寄ることで、参加費のかからないキャンプが成り立っていることが伺えます。

家庭で過ごす日々

このリトアニアの参加者は、キャンプの前の2週間を2つの家庭で過ごしました。最初の1週間は小さな町エメッテンで、ほかの国から来た4人の女の子と一緒に滞在し、山歩きや湖での水泳、ミニゴルフを楽しんで、船で近くのルツェルンの街にも出かけています。2週目はバーゼルの家庭へ。バーゼルのレオクラブが、ゲームをしながら街を案内してくれました。

自分の国の料理をふるまう夜もありました。この参加者が作ったのは、リトアニアの冷たいビーツのスープです。あざやかな色とさわやかな味で、その夜いちばんの話題になったそうです。ほかの家庭に滞在する仲間も、それぞれの国の料理を持ち寄りました。

迎える側の様子は、チューリッヒのクラブの報告から分かります。2025年7月19日から26日までの1週間、会員の家庭が、ブラジル南部から来た17歳の女の子を迎えました。申込書では英語の力を「まあまあ」としていたのに、実際は問題なく話せたこと。ロスティとフォンデュが気に入ったこと。そのフォンデュは、お酒を使わず、りんごの果汁で作ったこと。最後には、チューリッヒのブラジル料理店で、彼女が自分の国の料理を家族に紹介したこと。頼まれなくても家事を手伝い、家族の暮らしにすっかりなじんでいた、と報告は伝えています。

もしあなたが高校生なら、ここに準備のヒントがあります。英語に自信がなくても、気おくれする必要はありません。それよりも、自分の国の料理を1品作れるようにしておくことと、家の手伝いを自分から申し出ること。この2つが、家族や仲間との距離をぐっと縮めてくれるはずです。2026年の「Swiss Nature Experience」は16歳から参加でき、次の夏の「Swiss Cultural Experience」は16〜19歳が対象です。2025年の感想に添えられた、仲間の国を表す20ほどの国旗の中には、日本の国旗もありました。

このキャンプから学べること

ライオンズクラブのメンバーとしてこのキャンプから学べるのは、1日単位で役割を分けるやり方です。1つのクラブがキャンプ全体を抱えると、日数が長いほど負担は重くなります。スイスでは、付き添いは運営の担当者とリーダーが受け持ち、各クラブは自分たちの町を案内する1日に力を注ぎます。ラ・ヴノージュのクラブは、付き添いの心配をせずにすんだことに感謝し、若者たちと過ごした1日を「久しぶりの遠足のようだった」と振り返っています。1日だけなら引き受けられるクラブは多く、その1日が、地元の自慢を見せる場にもなります。日本で来日生を迎えるキャンプを組み立てるときにも、取り入れやすい分け方です。

3つの地区で受け持ちを回すこと、家庭の負担を「1〜2人を1〜2週間」と区切ることも、毎年続けていくための工夫として参考になるはずです。

保護者の方が気になるのは、時期と費用でしょう。2026年の日程は7月中旬から8月上旬まで。日本の夏休みとおおむね同じ時期ですが、家庭での滞在から始まる形では、出発が1学期の終わりにかかることもあります。参加費はかからない一方で、航空券と保険、必要な場合はビザの費用を自分で用意します。2026年の募集の締め切りは3月15日でした。申し込みは、推薦してくれる日本のライオンズクラブを通して行うので、早めに地元のクラブに相談しておくと安心です。参加費のほかにかかるお金は、参加費のほかに、何のお金がいる?にまとめています。

補足

  1. 2026年のキャンプの日程、定員、家庭での滞在の条件は、西の地区のクラブが2025年11月に公開した会員向けの呼びかけと、イタリアのライオンズの青少年交換サイトに掲載された2026年のキャンプ案内によります。
  2. 2025年のキャンプの様子は、各クラブが公開した報告と、スイスのライオンズの受け入れ案内に掲載された参加者の感想によります。参加者や家庭の名前は省いています。
  3. 受け入れ案内のページは「2026年」の見出しのまま、2027年の日付の2つのキャンプを紹介しています。本文では、日付のとおり次の夏(2027年)の計画として扱いました。
  4. 写真はアムデンから見たヴァレン湖です(Amden, St. Gallen, Switzerland 2020 15、撮影 dconvertini、Wikimedia Commons、CC BY-SA 2.0)。トリミングと明るさの調整をしています。

※日程や費用、募集の有無は年によって変わります。最新の情報は、地元のライオンズクラブや地区に確認してください。

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