北の冬に開く、フィンランドで2回目の冬のキャンプ

YCE(ユースキャンプ及び交換)は、ライオンズクラブ国際協会が続けている青少年交流です。若者は地元のライオンズクラブなどの推薦を受けて海外へ出かけ、行き先のライオンズの家庭やキャンプで過ごします。北部の107-L地区によると、フィンランドのライオンズは1960年代からこの交流に取り組んでいて、毎年およそ200人の若者を海外へ送り出し、およそ150人を国内のキャンプに迎えています。交流の多くは夏に行われ、数週間のキャンプとホストファミリーでの滞在を組み合わせる形です。

そのなかで107-L地区は、冬にもキャンプを開いてきました。最初は2023年の年明けで、フィンランドのライオンズの全国組織は「ユースキャンプを初めて冬に開く」と伝えています。新型コロナウイルスの影響で2年遅れての開催でした。中心になったのはプダスヤルヴィの2つのクラブで、近くのラヌアとポシオのクラブが手伝い、地区や全国組織、プダスヤルヴィ市も協力しています。若者たちは2022年12月27日からライオンズの家庭で過ごし、1月7日からはスキー場のあるシュオテ(Syöte)の青少年センターに移りました。メキシコ、インドネシア、イタリア、マレーシア、ハンガリー、フランス、スリランカ、ブラジルから若者が集まり、地元の若者3人も加わっています。

2回目の今回は、会場をクーサモに移しました。開催の1年以上前に開かれた地区の役員会で、クーサモのライオンズクラブが責任を持って運営し、同じ区域のほかのクラブが後ろから支えることが決まっています。日程は「家庭での滞在のあとに1週間のキャンプ」という前回と同じ順番です。キャンプの名前にある「やわらかな薄明かり」は、真昼でも太陽が低く、明るい時間が数時間しかない北の冬の光を指しているのでしょう。

年越しは、ライオンズの家庭で

フィンランドのライオンズの会報『LION』2026年1号には、プダスヤルヴィで若者を迎えた家族の体験が載っています。シンガポールから来た女子2人と男子1人は、12月27日、吹雪のなかクーサモの空港に降り立ちました。途中でパリとロンドンにも立ち寄ってきたそうです。

家庭での1週間は、雪遊びから始まりました。雪だるまを作り、雪の上を転げまわり、たき火でソーセージやマシュマロを焼きます。トナカイや羊にえさをやり、サウナに入り、零下26度の夜には月の下で屋外の温かい湯船につかりました。オーロラもうっすらと見えたといいます。そり遊びや、近くのイソ・シュオテでのスキー、屋外のスケートにも挑戦し、深い雪の森をスキーで歩いたり、月明かりの湿原を散歩したり、オウルの町では凍った海の上を歩いたりもしています。ほかの交換留学生と一緒に、丸太で建てた学校の校舎や、丸太の家をつくる会社も訪ねました。

食卓の話も楽しそうです。3人が気に入ったのは、ハムやチーズ、クリスマスのお菓子のタルト、甘いパンのプッラ、ココア、卵バターをのせたカレリア地方のパイ、サーモンのスープ、ヘラジカの肉の炒め物でした。迎えた家族のほうも、シンガポール風の麺料理の作り方を教わっています。記事は「ホストファミリーになるのは冒険だった。また経験してみたい」という言葉で結ばれています。

地区のガバナーが1月に会員へ送った便りによると、プダスヤルヴィで新しくできたレオクラブ(ライオンズの若者のクラブ)の家族も、ロヴァニエミと同じように若者を迎えました。若者たちは雪の中に飛びこむ挑戦をすすめられて、それに応えたそうです。家庭ではお菓子を焼いたり、ボウリングやバレーボールをしたりして過ごし、キャンプへ移るときには「フィンランドらしさを少し味わえた」とお礼を言っていたといいます。若者をキャンプに送り届けたとき、何人もの親の目に涙が浮かんだ、とも書かれています。わずか1週間でも、家族として過ごした時間の濃さが伝わってきます。

森の青少年センターで過ごした8日間

キャンプの会場は、クーサモの町とスキー場のルカに近い森の中にある、オイヴァンキ青少年センターです。若者の活動と自然の中での旅を受け持つ施設で、ここを選ぶことが若者の活動を支えることにもなる、と施設は案内しています。キャンプ長の報告書によると、昼間の活動の多くと、宿泊、食事はこのセンターが引き受けました。キャンプには指導役の2人が、最初から最後まで若者と一緒に泊まっています。

1月4日の日曜日、若者たちは午後3時に、それぞれのホストファミリーの送りでセンターに着きました。説明を聞いて部屋に入り、夕食をとって初日が終わります。月曜日はチームで取り組む活動から始まり、午後は「生き残り」をテーマにした野外の課題に挑みました。夜は、最終日に発表する自分の国と文化の紹介の準備です。

火曜日の午後は、氷の上で糸をたらす冬の釣りです。スノーシューをはいて雪の上を歩く散歩と組み合わせることもできました。夜はサウナです。水曜日はクーサモの町へ出かけて観光案内の施設や大きなスーパーをのぞき、戻ってからはセンターのまわりで外遊びをして、またサウナに入りました。

木曜日は、地元の高校を訪ねる日です。午前を学校で過ごし、昼食も学校でとりました。午後は文化の時間で、夜は「コタ」と呼ばれるテントのような形をした北の国の小屋で夜食を楽しんでいます。金曜日の午前はトナカイ牧場へ出かけ、午後はスノーシューで雪の森を歩きました。土曜日は雪の上で楽しむカーリング(アルペンカーリング)をして、午後はそれぞれの国や地域の発表です。お別れの夕食とサウナで最後の夜を過ごし、日曜日の朝に部屋を片付けて解散しました。

予定どおりにいかなかったこともあります。近くのヴァルタヴァーラの丘へ出かけるはずだったスノーシューの遠出は、厳しい寒さのため取りやめになりました。それでも報告書は、センターのまわりの自然のおかげで、寒さの厳しい日でも外で過ごす機会は十分にあった、と振り返っています。天気で予定が変わる北の冬だからこそ、外に出ればすぐ森がある場所を会場にしたことが生きたと言えそうです。

1月6日には、ウクライナへ送られる救急車がキャンプに立ち寄りました。救急車を贈るための募金活動の一つで、プダスヤルヴィのレオクラブの若者たちもこの日にキャンプを訪ね、募金を呼びかけています。地区のガバナーの2月の便りは、若者たちがオーロラや厳しい寒さ、雪、そしてフィンランドの暮らしを存分に味わった、とキャンプを振り返っています。

8日間のキャンプを、誰がどう支えたか

報告書によると、キャンプの当初の予算は16,000ユーロでした。センターでの活動と宿泊、食事に、トナカイ牧場のような外での活動と、予定に沿った移動の費用を含めた金額です。実際にかかったのは14,685ユーロで、予定が変わったことと、学校を訪ねた日の昼食を市が支えてくれたことで、見込みより少なく済みました。移動の一部は、ボランティアの会員が手を貸しています。地区からの支援は9,000ユーロで、約束していた10,000ユーロより少なくなりましたが、クラブが集めた支援を合わせて、キャンプの会計は最後に737ユーロの黒字で終わっています。

役員会のあとにまとめられた予算の案を見ると、お金の組み立てがよく分かります。支出でいちばん大きいのは宿泊の約8,460ユーロで、ほかに移動、活動、お別れのパーティー、記念品、保険などが並びます。収入は、地区の10,000ユーロに加えて、市から1,000ユーロ、参加者が払う参加費として合わせて5,000ユーロ、フィンランドのライオンズの全国組織から海外の参加者1人につき125ユーロ(20人で2,500ユーロ)、指導役への支援、クラブの協賛を見込んでいました。地区と全国組織と市、そして参加者の負担を組み合わせ、1つのクラブだけに重い負担がかからないようにしていることが分かります。

お金には表れない働きもあります。クーサモのクラブの会員は、空港への送迎に9時間、キャンプ長の仕事に66時間、センターとの話し合いに8時間をかけた、と報告書に記しています。役員会の記録には、前回のシュオテのキャンプの費用が約17,000ユーロで、そのうち地区が約10,600ユーロ、協賛が約5,000ユーロを出したことも書かれています。前回の数字を手がかりに次の予算を組んでいるところからは、冬のキャンプを地区の行事として育てていこうという姿勢が伺えます。

迎えた家族を、次の仲間に

地区のガバナーは1月の便りで、若者を泊めてくれたライオンズの家族や友人に感謝を伝えたうえで、会員にこう呼びかけています。ホストファミリーになった家族を、クラブの会員に誘ってほしい。その家族はもう、ライオンズの奉仕をしているのだから。そして、その家族の若い世代をレオクラブに誘ってほしい、と。

実際に、11人で始まったプダスヤルヴィのレオクラブからは、2人が地元の若者としてキャンプに加わりました。海外の若者と同じ8日間を過ごす、迎える側の若者です。海外の若者を迎えることが、地元の若い世代や新しい家族をライオンズに引きこむきっかけにもなっています。会報『LION』の記事も、次の夏に向けて、また若者を迎える家族を募っていると伝えています。

このキャンプから学べること

もしあなたが高校生で冬の派遣に興味があるなら、このキャンプは年末年始をまるごと北の国で過ごす形の一つの例になります。参加者は17〜20歳で、今回はマレーシアやシンガポール、香港といったアジアからの若者もいました。年越しはホストファミリーと過ごし、キャンプの最終日にはそれぞれの国の紹介を発表します。日本のお正月の過ごし方は、ちょうどその時期に合った話題になるでしょう。寒さで予定が変わることもあるので、しっかりした防寒の準備と、変わった予定も楽しむ気持ちの両方を持って行きたいところです。どの国のキャンプに何人行けるかは毎年、地区どうしの話し合いで決まるので、まずは地元のライオンズクラブに相談してみてください。

保護者の方が気になるのは、寒さと日程でしょう。家庭での滞在は年末から始まり、キャンプが終わるのは1月11日です。日本の学校では3学期の始まりと重なることもあるので、早めに学校と相談しておくと安心です。一方で、キャンプでは指導役の2人がずっと付き添い、宿泊と食事は青少年のための施設が受け持っていました。ホストファミリーの家からキャンプまでは家族が送り届けていて、地域ぐるみで若者を見守っている様子が分かります。

ライオンズクラブのメンバーとしてこのキャンプから学べるのは、施設に任せるところと、クラブが受け持つところを分けるやり方です。昼間の活動や宿泊、食事を青少年センターに任せたことで、クラブの会員の仕事は、キャンプ長と送迎、施設との話し合いに絞られました。それでも80時間あまりの手間がかかっています。費用は、地区と全国組織、市、参加費、協賛から少しずつ集めました。日本にも、冬に海外の若者を迎えるキャンプがあります。家庭での滞在のあとにキャンプを置く順番や、地元の高校を訪ねる日、ホストファミリーをクラブの仲間に誘う呼びかけは、日本のクラブにもそのまま参考になるはずです。

補足

  1. 2026年の日程、参加者、日ごとの予定、寒さによる変更、費用の実績、クラブの会員の作業時間は、キャンプ長が2026年6月にまとめた報告書によります。報告書に載っている予定は、計画の時点のものです。
  2. 担当クラブと日程の決定、予算の案、前回のキャンプの費用は、地区の役員会の記録と予算の資料によります。予算の案の収入の内訳は見込みの数字で、実際の内訳とは異なります。
  3. 家庭での滞在の様子は、フィンランドのライオンズの会報『LION』2026年1号と、地区のガバナーの便り(2026年1月と2月)によります。参加者や家族、会員の名前は省いています。
  4. 2023年の最初の冬のキャンプについては、フィンランドのライオンズの全国組織が2023年1月に出した記事によります。
  5. 写真は、クーサモのイーヴァーラの丘から見た、雪におおわれた森と凍ったイーヤルヴィ湖です。1月下旬の昼過ぎに撮られたもので、真昼でも低い北の冬の日差しが分かります(IIjärvi from Iivaara in winter、撮影 Guillaume Baviere、2012年1月、Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。トリミングと明るさの調整をしています。

※日程や費用、募集の有無は年によって変わります。最新の情報は、地元のライオンズクラブや地区に確認してください。

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同じ年末年始に開かれるキャンプの例として、クリスマスは家庭で、年明けは旅の途中で——イタリア全国冬季キャンプ「Campo Italia Invernale」があります。日本で冬に海外の若者を迎える例は、家庭滞在の締めくくりに、派遣経験者と同じ宿で——九州・337複合地区のYCE冬期来日生ユースキャンプで紹介しています。参加費のほかにかかるお金は、参加費のほかに、何のお金がいる?にまとめました。